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インテリジェンスの極意! 感想

先日、黒井文太郎「インテリジェンスの極意」という本を読みました。
日本のインテリジェンストッププロ20人にインタビューするという本で、黒井氏は、経歴はよくわからないのですが、質問が具体的で鋭く、この役にぴったりだなと思いました。

この本に特徴的なのは、「日本のインテリジェンスは、他国に比べて弱い」とよく言われるように、結構、我流的に情報収集、分析をやっている方もおられ、良くも悪くも各人のコメントを通して、現在の日本のインテリジェンスレベルを俯瞰できるところです。

例えば、春名幹男氏は、「(ネット情報含め)公式発表に核心の情報はない」と言い切っているのに対し、佐藤優氏は、「インテリジェンスの95%から98%の情報は公開情報で入手できる」と言っています。

どうも我流と思われるやり方、例えば波津博明氏は、「海外情報紙として、ニューヨークタイムズがとにかく優れ
ている。(なぜかヘラトリ等には触れない)」と言い、太田文雄氏は「孫子の兵法はスパイする上で極めて有効」と言って、その歴史、内容、読んだ人をとうとうと紹介したりしています。

これらを見ていると、各人職業が違うとはいえ、日本はもっと統一的に、情報収集をシステマチックに訓練する環境にないのかなーと思ったりします。犬も歩けば棒にあたる的なやり方の方も多いのかなと・・。

しかし、この本で、佐藤優氏、大森義夫の2氏のコメントは、特に参考になると思いました。
箇条書き的に書きますと、

佐藤氏
○インテリジェンスのほとんどは公開情報で可能だが、そのうちの、「どこに何があるか」を知るには手引き者が必要で、その点で人脈は必要。
○信用できる人脈をあてるには、その情報通なら当然知っているであろう情報をさりげなく聞いてみる。例えば、情報通なら精通してるはずの建物の市外局番とか、関係国の人口とか。
○官僚の情報操作には、ウソはつかないけど、AかBか判断できる大切な情報をあえて入れなかったりするので、それに気づけるかどうかが大切で、Aと思わせぶりをしてるけど、本当にそれで確定できるかを意識して読解するべし。
○イギリスのインテリジェンスは、南米のことは知らないけど、アイルランドはとても詳しいなど、優先順位を心得ていて、しかも世界から過度に警戒されない術を知っており、計算ずくでプロパガンダもやる。その意味で非常にレベルが高い。
○冷戦構造の崩れた今、1648年のウエストファリア条約以降の歴史を学ぶのは重要。国家は過去のアイデンティティを求めたりするので、歴史は繰り返す傾向がある。
○日本のインテリジェンスが弱いというのはよく言われるが、どこのどこで、どういう情報がとれてない、という話からしないといけない。佐藤氏的には、モンゴル、新疆ウイグル、チベットなどの情報は、国は金と人員を使って、もっと集めたほうがいいとのこと。

などなど、佐藤氏の必ず具体的な例をその場でつけて解説する記憶力にも感心しました。

大森氏は、
○日本のインテリジェンス機関はアメリカのCIAを目指すのではなく、イギリスのSIS(秘密情報局 通称M16)くらいを参考にしたほうが、予算、規模的に妥当でわかりやすい。ヒューミント(人的情報)重視の組織で。
○日本の諜報機関は、情報収集力も弱い、分析する能力も弱い、評価する能力も弱いので、国は、「この政策に反映させるため、こういう情報をとってこい」というような収集の仕方をするべきである。
○インテリジェンスは制度というより、人が大事。いわゆる職人芸が必要とされるが、肝心の人材が日本にはいない。だから、何らかの形で、正規雇用は難しいにしても、もっとアウトロー的な人材を活用すべきである。
例えば、若い頃に海外経験を積んだ人物や、世界を放浪し大学中退してるような青年をスカウトし、3年そこに住まわせて呼び戻すとか。

とまあ、列挙的になりましたが、全体としては、日本のインテリジェンスの微妙な実態を味わえる、内容の濃い良書でした。
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